シリアルレベルコンバータ


 シリアルレベルコンバータというのはRS-232C規格の信号電圧レベルを調整してポケコンとモデムやパソコンとの間でデータ転送を出来るようにするための変換装置です。
RS-232C規格の信号は+15V〜-15Vの電圧値を取るのですが、ポケコンが扱えるのは0V〜5Vまでの電圧なので両者を直接接続してしまうとポケコン側が破損してしまいます。そこでこの両者の間に入り互いの信号電圧を調整するのがシリアルレベルコンバータの仕事です。
 FX-890P/Z-1シリーズでは純正品としてFA-8というインターフェースが用意されていますが、かなり大きい事と動作用電源(乾電池でもOK)が必要なこととであまり手軽には使えないのが正直なところです。
そこで無電源で、且つ省スペースなシリアルレベルコンバータの作り方を紹介します。

 ここで紹介しているシリアルレベルコンバータは「Z-1/FX-890P活用研究」に載っていた回路図を元に、ソフトフロー制御が可能になるように改造したものです。
なお、このインターフェースを使用した結果あなたのポケコンやパソコン等にいかなる障害が発生したとしても当方は一切関知しません。使用は各自の責任において行ってください。

1.動作原理

 RS-232Cの信号電圧レベルとポケコンの信号電圧レベルは

  RS-232C FX-890P/Z-1
ビット「1」 -15V〜-5V 5V
ビット「0」 5V〜15V 0V

というように一致していないため、単純に両者を繋ぐことは出来ません。
特にRS-232Cではマイナス方向の電圧を使用するため、これをどうするのかが課題になります。
(ちなみにRS-232Cがマイナスの電圧を使用する理由ですが、もともとRS-232Cは長距離用の通信規格なのですが通信路が長くなると浮遊静電容量というものが発生し通信路内に電気が溜まってしまう現象が起きてしまいます。そこで逆方向の電圧を掛けることで電気を溜まらないようにしているワケです。)

 FX-890P/Z-1のシリアルポートは30pinコネクタと3pinコネクタの二つが利用できるのですが、30pinの方は制御ラインを含めすべての信号線を配線できますが3pinの方はデータライン(RXD,TXD)とGNDのみの配線となります。
制御ラインはハードフロー制御やモデムの状態取得には無くてはならないモノではあるのですが、しかし別に無くてもデータ転送を行うことはできます。
そこで制御ラインの配線は行わず、データラインのみ配線する事で回路の簡略化を図る一方、制御ラインに掛かる電圧をデータライン用の電源として流用する事で電源を用意する必要を無くします。
また、ポケコンからモデムを制御する、というシチュエーションはあまり無いので、接続先はパソコンという事で回路を考えます。

 パソコン側が通信状態のとき、各制御ラインの内で出力となっているのは「DTR」と「RTS」で、両者は共にビット「0」となっています。
これをプラスの電源として利用すれば良いのですが、一方マイナスの電圧に関しては安定に出力される制御ラインはありません。
仕方が無いのでマイナスの電源は「GND」…つまり0Vを流用する事にしておきます。
RS-232Cの規格から見るとダメなように思えるかもしれませんが、実際は0Vでもビット「1」と認識してくれるようです。(もっとも本来の規格からは外れているので動かないモノがあったとしても文句は言えないですケド)

2.回路図

 

回路図

 

名称

 

3.材料

ダイオード IS1588 3個
ツェナーダイオード 02Z5.1A 2個
トランジスタ(NPN) 2SC1000 2個
トランジスタ(PNP) 2SA841 2個
抵抗 3.3KΩ
4.7KΩ
10KΩ
36KΩ
39KΩ
各1個
2.5φステレオジャック   1個
D-sub9pinコネクタ(メス)   1個
2芯シールドケーブル   適当
ユニバーサル基盤   1個

 

4.説明

5.製作例

 

NIFTY-Serve YHW02344
村中 昭雄(STEAR)